須藤正和の写真1須藤正和の写真1

スポーツの力で
ノーマライゼーションを
加速させる。

須藤 正和

スポーツ局スポーツ管理部スポーツ人材課
スタッフィング競技ボランティアチーム 係長
2017年入会

システムエンジニアとしてキャリアを重ねる一方で、パラリンピックのセーリング選手として世界に挑んだ実績を持つ。大会運営をサポートした経験も豊富。選手の気持ちにより添いながら東京2020大会の成功を牽引する。

1992年3月、須藤は新たな世界を手に入れた。ヨットでセーリングした東京湾。お世辞にも綺麗とはいえない海だったが、須藤の心を鷲掴みにした。陸とはまったく違う世界。健常者と変わらず自由に動くことができるフィールドがあることを知ったのだ。さらにそこは、アスリートという人生のスタート地点でもあった。それから4年後の1996年にアトランタ大会でセーリングが公開競技となり、日本代表として須藤が参戦したのだ。その後の人生はずっとオリンピック・パラリンピックと共にある。記録に挑む者として、大会運営をサポートするボランティアとして。そんな須藤は今、東京2020組織委員会のオフィスで原点となった東京湾を眼下に仕事をしている。

仕事に制限を設けない。

アスリートとして参加したオーストラリアの大会で須藤はとんでもないミスをおかした。試合時間をとらえ違えていたのだ。背景にはミスが起きても不思議ではない状況があった。セーリングがメジャースポーツである欧米ではアスリートをサポートするプロフェッショナルチームが同行するが須藤は単身で臨んでいた。資金がないからヨットを運ぶのに便利なコンテナも借りられず、メカニックがいないため、試合が終わっても、ヨットの修理で休む暇もない。さらに車椅子というハンデもあり、心身に疲労が蓄積されていた。そんな状況下で起きたミスだった。これが健常者であれば迅速に行動し、リカバーできたかもしれない。しかし、ヨットを積むのも並大抵のことではない須藤はそうもいかない。間に合わない。諦めるしかない。そう思った時だった。面識のなかったボランティアが自分の車で会場に送ると申し出てくれたのだ。

「この時の経験が、運営側にいる際の指針となっています。自分の仕事はここまで、という制限は設けない。どうしたらアスリートが試合に集中できるか、最高のパフォーマンスを追求できるか、判断基準をそこに置き、できる限りのことをします。試合に関係ないことでも相談にのったり、アドバイスしたり。海外からきた人には通訳として伴走することもあります」

かつて自分の選手生命をつないでくれたボランティアの思いを次は自分がつなごうと考えているのだ。

須藤正和の写真2
須藤正和の写真3

向き合うことで良いスパイラルを創造する。

須藤が所属するのはスポーツ人材課。その中でもスポーツの専門知識が求められる競技ボランティアの窓口として各競技のスポーツマネージャーとボランティア推進部の橋渡しを担っている。一方で、8万人体制となるボランティアのマネージメントにおいて応募者に対するオリエンテーションや研修などにもかかわる。ボランティアとの接点で須藤が意識しているのは、彼らの影響力と可能性を伝えること。ボランティアの存在は、アスリートのパフォーマンスに大きく影響する。ネガティブな一言を発したり、消極的な対応をしたりすれば、アスリートは彼らに期待しなくなるだろう。必要な時、救いの手を求めることもないだろう。

「良いスパイラルを生みたいんです。意欲を持って参加したボランティアがアスリートのパフォーマンスを引き出す。それを目の当たりにすることで参加してよかった、人生が変わるきっかけになったと感じる人が増える。そこからさらに、未来の大会への期待が生まれてゆく。そのためには、ボランティアたちの情熱の火を消さず、未来につなぐことが大切です。その働きかけをするのが、私。大きな組織の組織委員会の中で競技のボランティアが関わる人というのは限られているので私の責任は大きいんです。だからこそどんなに疲れていても、ささいなことに思えても、彼らと丁寧に向き合って、人生を交わすつもりで対応したいと思っています」

スポーツには
人々の意識を変える力がある。

スポーツには人々の意識を変える力がある。スポーツの会場では、バックグラウンドや価値観の異なる者たちが打ち解け、自然とひとつになる。それは多くの問題を抱えた社会を変えてゆく力となる。だからこそ須藤は、スポーツの力を借りて成し遂げたいことがある。障がい者に対する社会の意識を変えること。

「障がい者はかわいそう、という意識を変えたい。たとえばセーリングは、障がいのある人が同じ条件で競って、健常者を打ち負かすことのできるスポーツです。強いか、弱いか、できるか、できないかは、個人差。障がいのあるなしで語るものではないと思うので、そうした意識をスポーツの力で浸透させ、違いを超えてひとつになる社会をつくれたらと思います」

ノーマライゼーションという言葉がある。障がいのある者とない者とが平等に生活する社会を標榜するという意味の言葉である。日本でも30年前から使われているが、海外と違って、いまだに現実が伴わない。
東京2020大会を機に、この状況に風穴をあけたい。そのためにも、東京2020大会を成功させなければならない。自分を起点に良いサイクルを生みたい。須藤は、そう思っている。

須藤正和の写真4
須藤正和の写真5

須藤がはじめてヨットに触れたのは晴海にあった展示場で
今とは様変わりし、当時の面影はない。
自身もまた、あの頃からは想像できなかった日々を重ね、今にいたる。
原点の地で、須藤は決意を新たにしている。
須藤の胸から挑戦の火が消えることはない。

須藤正和の写真6

他の職員を見る

職員紹介 井上 利彦サムネイル画像

井上 利彦2014年入会 広報局

職員紹介 谷尾 亜実サムネイル画像

谷尾 亜実2018年入会 テクノロジーサービス局

職員紹介 大澤 雅章サムネイル画像

大澤 雅章2018年入会 輸送局

職員紹介 番場 三千世サムネイル画像

番場 三千世2019年入会 ゲームズ・デリバリー室

職員紹介 ジャスミンサムネイル画像

リ ジャスミン2016年入会 国際局